「エステティシャンから独立して自宅サロンを開業したい」
「自宅サロンのオーナーになって収入を増やしたい」

そう考えている方は少なくないでしょう。しかし、自宅サロンのオーナーになるのであれば、売上だけでなく税金にも目を向ける必要があります。自宅サロンでの売上には税金がかかるため、売上金額全てが手元に残るわけではありません。

しかし、初めて個人事業主として納税するという方は、どれくらい税金がかかるのかイメージしづらいのではないでしょうか?本記事では、自宅サロンにかかる税金の種類や納税方法、経費の項目などを詳しく解説いたします。

  1. 自宅サロンにかかる税金の種類
  2. 自宅サロンで経費計上可能な項目
  3. 自宅サロンの経営には税金対策が必須

自宅サロンにかかる税金の種類


自宅サロンを経営していると以下の税金が発生します。

  • 所得税
  • 住民税
  • 固定資産税
  • 消費税
  • 事業税

それぞれの税金の内容と計算方法について解説します。

所得税

所得税は1年間の所得に対して課される税金です。自宅サロンの経営で得た所得は事業所得に該当し、確定申告を行って納税をしなくてはいけません。

以下の条件を満たす場合は、確定申告による納税が義務付けられています。

  • 本業で自宅サロンを経営しており、年間の所得金額が48万円以上
  • 副業で自宅サロンを経営しており、年間の所得金額が20万円以上

所得金額は売上から経費を引いた金額であるため、売上が少なく赤字の場合は確定申告の義務はありません。しかし、ほとんどの場合は確定申告によって税金の納付が必要と考えておきましょう。所得税では累進課税制度が採用されており、所得金額が多くなればなるほど税金が上がります所得金額は売上から経費を引いた金額であるため、経費を多く使えば税金が少なくなることも覚えておきましょう。

確定申告の方法についてはこちらをチェック!

保健所への申請は絶対?エステサロン開業のルール

住民税

住民税は所得税の確定申告の結果に基づいて、課される地方税です。各地方によって定められた計算方法に基づいて課税金額が決定されます。

住民税の計算方法については、各地方自治体のホームページに掲載されているのでぜひチェックしてみてください。

固定資産税

自分が購入したマンションや持ち家でサロンを開業した場合は、建物が資産に該当するため、固定資産税が発生します。賃貸の場合だと固定資産税はかかりません。

固定資産税は以下のように計算されます。

『固定資産税評価額×1.4%=固定資産税額』

固定資産税評価額は土地の面積や1㎡あたりの金額、老朽化度合や築年数などを考慮した評点から求められます。建物の老朽化が著しい場合は、評点が低くなるのでそれほど固定資産税はかかりません。

固定資産税の一部として減価償却税があります。土地や家屋以外の機材や設備にかかる税金であり、自宅サロンであればエステマシンやパソコンなどが課税対象となります。合わせて確認しておきましょう。

消費税

以下の条件を満たした場合は、消費税の納税義務が生じます。

『前々年の売上高が1,000万円以上、または前年1月から6月までの売上高か給与支払額が1,000万円以上ある事業主』

所得金額ではなく売上高次第で課税される点に注意しましょう。経費を多く使ったとしても、消費税には影響がありません。現在は売上高の10%の消費税を支払わなければいけませんが、各種備品の仕入れなど、事業に関連して消費税の支払いを行っている場合はその分を差し引く必要があります。

『課税売上高×10%-課税仕入れで支払った消費税額=消費税額』

課税仕入れで支払った消費税額を考慮しないと、余分に消費税を納めることになってしまうので注意してください。

事業税

事業税は特定の業種について課税される税金です。自宅サロンのような美容業は、美容師免許が必要な以下のような業務をメニューに取り入れていると課税対象となります。

  • フェイシャルエステ
  • まつげエクステンション
  • 散髪

事業所得が290万円以上あることも課税要件です。美容関係の事業税の税率は一律で5%と定められているため、以下の計算方法で求めることができます。

『(所得-290万円)×5%=事業税』

痩身エステや脱毛など、美容師免許が必要ないメニューのみを実施している場合は、課税対象にはなりません。

自宅サロンで経費計上可能な項目

自宅サロンの経営にかかる税金において、大きな割合を占めるのは所得税です。所得税をなるべく少なくするためには、経費を活用していかなくてはいけません。

自宅サロンは経費計上できる項目が幅広いです。考え方も複雑な部分があるので、正確に理解しておきましょう。

  • 事業に直接関係した費用
  • 家賃
  • 電気代
  • ガス・水道代
  • 通信費

事業に直接関係した費用

事業に関連して発生する以下のような費用については、全て経費計上可能です。

  • 施術に必要な消耗品費
  • 販売している商材費
  • 施術に必要な機器の購入費
  • 自宅サロンの内装工事費
  • 自宅サロンの広告費
  • スタッフに支払う給与
  • 制服、ユニフォーム費用

機器のように購入金額が大きいものについては資産に分類され、減価償却を行わなくてはいけない可能性があるので注意しましょう。

家賃

自宅サロンの経費において、最も考え方が難しいのが家賃です。自宅サロンのためだけに家やマンションを借りており、居住用として使用していなければ家賃の100%を経費を経費計上できます

しかし、少しでも居住用として使用している場合は、事業に使用している割合だけ経費計上するという考え方になります。

プライベート利用と仕事利用を明確に判断することは難しいです。専有面積や使用時間など計算方法も様々なため、税務調査が行われた際に正確に説明できるようにしておきましょう。

電気代

電気代についても家賃と同様で、プライベートで使用した分を含まずに経費計上しなくてはいけません。合理的に計算するのは難しいですが、家賃と同様に専有面積や使用時間をベースにして計算しましょう。

しかし、エステマシンのような大型機器は消費電力量が多く、単純に使用時間を元にして計算するのが適切でない場合もあります。営業中に使用している機器の総電力量から経費となる電気代を計算しても良いでしょう。

ガス・水道代

ガスや水道代も経費計上が可能です。しかし、業務に関連したガス代や水道代はそれほど多くないため、計上する際は十分注意しましょう。例えば、施術を行うベッドのシーツやタオルを毎日洗濯しているような場合は、経費計上できます。しかし、営業時間中のトイレや手洗いでしか水道を使わない場合は、金額が微々たるものなので経費計上は難しいでしょう。

しかし、そもそもガスや水道代がそれほど高くない場合は、全てプライベートでの利用と判断される場合もあります。使用頻度や金額によって、経費計上すべきか考えましょう

通信費

電話代やインターネット代、切手代など通信にかかる費用も経費計上できます。自宅の固定電話とサロンの固定電話を共通で使用している場合は、使用時間をベースにして経費計上を行いましょう。

インターネット代についても同様で、使用時間から経費として計上する金額を求めるのが適切です。厳密に計測する必要はありませんが、プライベートと仕事で使用している割合はそれぞれ大まかに把握しておく必要があります。

自宅サロンの経営には税金対策が必須


自宅サロンのオーナーになると、自分で税金の計算を行い、納税をしなくてはいけません。納税額も今までより多くなるでしょう。

しっかりと経費計上を行い、なるべく所得税が少なくなるように工夫しましょう。税金対策を正しく行い、収入を増やすことも十分可能です。