エステサロンの開業となると考えなければいけないのが、法的な手続きです。しかし、サロンの形態や提供するサービスによって、必要となる手続きの種類は様々です。

そこで今回のコラムでは、エステサロンを開業する際に保健所への届出は必要なのかについて解説していきます。また、申請する時期や確定申告の方法についても掲載しておりますので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。

  1. エステサロンの開業は保健所への届出は必要ない?
  2. エステサロンの開業でも保健所への届出が必要なケース
  3. 保健所への届出を申請する時期は?
  4. 保健所へ届出を申請する手順
  5. 開業届はどのエステサロンでも必要
  6. 開業届の申請手順と注意点
  7. 開業届を提出するメリット
  8. 確定申告の方法は?
  9. 法人化する場合は設立届出の提出を!
  10. 必要な手続きを済ませ安定したサロン経営を

エステサロンの開業は保健所への届出は必要ない?


結論から言うと、エステサロンを開業する際、基本的には保健所への届出は必要ありません。多くの方が大手サロンで経験を積んで独立していく理由の1つに、届出を提出する必要がない点が挙げられるでしょう。

エステサロンの開業でも保健所への届出が必要なケース

  • 国家資格を所持する方が施術する場合
  • 首から上の施術をする場合

先ほど「基本的には」保健所への届出は必要ないとお伝えしましたが、上記の場合は特別な手続きが必要です。それぞれ解説します。

国家資格を所持する方が施術する場合

  • 理容師・美容師
  • 鍼灸師
  • 指圧師
  • 柔道整復師・理学療法士

以上のような国家資格を、所持するスタッフが施術をするサロンを開業する場合は、保健所へ「開設届」を提出する必要があります。開業をした際は必ず提出するようにしましょう。また、国家資格を所持していても、資格に関係のないサービスを提供する場合は届出が必要ありません。

首から上の施術をする場合

国家資格の有無に関係なく、首から上や刃物を使用した施術をする場合は、保健所への届出が必要なケースがあります。細かい条件はサロン形態や施術内容によって異なるので、開業の前に保健所に相談することをおすすめします。

保健所への届出を申請する時期は?

エステサロンの開業時にあたり、保健所の届出が必要な場合は、開業の1〜2週間前までに提出するようにしてください。施設の基準を満たし審査が通った場合にのみ「美容所確認済書」が発行され、サロンをオープンすることができます。

保健所へ届出を申請する手順

  • 保健所へ事前に相談
  • 開設届の提出
  • 立入検査
  • 受領書の発行
  • オープン

保健所への届出が必要な場合は、以上の手順で申請します。中でも重要なのは立入検査です。保健所の検査員が実際にサロンを訪れ、開業の条件を満たしているかを検証します。事前に保健所に相談するなどをし、基準を確認しておくと良いでしょう。

開業届はどのエステサロンでも必要


エステサロンを開業する際、保健所への届け出は必要ないとお話ししましたが、個人事業主としてオープンする場合は、税務署に「開業届」を申請しなくてはなりません。申請をしなくても、特に罰則があるわけではありませんが、青色申告名の際に便利なので、事前に申請しましょう。

開業届の申請手順と注意点

  • 提出期限は開業後1か月以内
  • 必要書類を用意する

提出期限は開業後1か月以内

開業届は、開業したということを税務署に報告する申請書であり、オープンしてから一か月以内に提出する必要があります。開業届を提出することで、法人カードの申請や青色申告ができるなどメリットはたくさんあるので、申請しておくことをおすすめします。

また、一か月を過ぎてから提出しても罰則はないため、万が一遅れることがあっても提出しておきましょう。

必要書類を用意

開業届を申請する際に必要な書類は、マイナンバーカードと開業届の申請書類の2種類だけです。申請書は、国税庁のホームページからダウンロードすることができるので、2枚用意し、1枚は控えにしておくと良いでしょう。

また、青色申告をして控除を受けたい場合は所得税の青色申告承認申請書も、この段階で同時に提出しましょう。

開業届を提出するメリット

  • 青色申告ができる
  • 法人用のカードが作成できる

青色申告ができる

先述しましたが、開業届の提出時に青色申告承認申請書を提出することで青色申告が可能になります。青色申告をすると、最大で65万円を所得金額から控除することが可能で、課税対象額を減らすことができます。例えば所得が500万円の場合、19.5万円の税金を節約可能です。

法人用のカードが作成できる

開業届を申請するとお店の名前として「屋号」を取得することができ、法人カードの作成が可能になります。法人カードを作ることで、経費の清算が楽になり、個人カードよりもポイントやマイルを効率よく溜めることができるようになります。その他にも法人カードを作るメリットは多いので、この機会に作成しておくと良いでしょう。

確定申告の方法は?


確定申告の方法は個人と法人で異なります。今回は個人の確定申告に限定してお話しします。

確定申告書類を揃える

開業届を提出した場合、登録した住所に確定申告書類の一式が送られてきます。必要書類を揃えて、税務署に提出しましょう。万が一書き直しが必要な場合や、早めに準備をしておきたいという方は、国税庁のwebサイトでダウンロードをするか、税務署に直接取りに行くことも可能です。

納税地の税務署長に提出する

確定申告書類の記入が終わったら、納税地の税務署長に提出をしましょう。納税地とは、サロンの住所、またはあなたの居住地がある場所を指しています。納税地を管轄している税務署は国税庁のwebサイトにて確認することができます。

確定申告書類の提出方法

  • 税務署に直接持って行く
  • 郵送で税務署に提出する
  • e-Taxを使用する

確定申告の提出方法は以上の3種類あり、お好きな方法で申請することができます。

税務署に直接持って行く

税務署に直接持っていく方法です。税務署まで足を運ぶ手間はありますが、書類不備があった場合や、記入事項の不安がある方は、直接職員に質問をすることができるのでおすすめです。

郵送で税務署に提出する

サロンの経営で忙しい方や、税務署から距離がある方は、郵便送付で提出することも可能です。確定申告は信書にあたるので、扱いには気をつけ、郵便やレターパックを使用しましょう。

不備がある場合は、返送されてやり直す必要があります。何度もやり取りをする手間を省きたい方は直接税務署を訪れると良いでしょう。

e-Taxを使用する

e-Taxとは、国税電子申告・納税システムです。マイナンバーカードなどのICカードや電子証明書を発行する必要があります。事前に準備しておきましょう。

法人化する場合は設立届出の提出を!

エステサロンの多くは個人事業主によって開業されますが、中には法人化した方が良いケースもあります。法人の場合「設立届出」などの特別な書類を申請する必要があるので、法人化を検討している方は事前に確認しておく必要があります。必要な書類は自治体によって異なるので、役所に確認を取りましょう。

法人化する目安は、一般的に事業所得が年間500万円を超えるかどうかです。一定以上の所得がある場合、税金の観点から損をすることもあります。所得と税金のバランスを考え法人化するかどうかを検討してください。

必要な手続きを済ませ安定したサロン経営を

今回のコラムでは、エステサロン開業の際に保健所への届出が必要かどうかについて解説してきました。保健所への申請はサロンの業態によって異なりますが、税務署への開業届はどのサロンでも提出しなければいけません。あらかじめ必要書類を揃え、いつでも開業できる状態にしておきましょう。