エステサロンを大きくしていきたいとなってくると必要なのが、スタッフ教育です。昨今エステサロンを開業する人も多くなってきていますが、オーナーという立場が初めてで、誰かを教育をしたことがないという方も少なくありません。

ではどのようにスタッフを教育したら良いのでしょうか。本記事でわかりやすく解説していきます。

  1. エステサロンでスタッフ教育を行う目的
  2. エステサロンのスタッフ教育に必要な内容
  3. エステサロンのスタッフ教育でやってしまいがちなNG指導法
  4. エステサロンのスタッフ教育成功のコツ5選!
  5. まとめ

エステサロンでスタッフ教育を行う目的

まずはエステサロンでスタッフ教育を行う目的です。なんとなくで教育を行っていても教育を受ける側は納得感が得にくくなります。常に目的意識をもって取り組みましょう。

  • サービスの質を高める
  • スタッフの早期離職を防ぐ
  • エステサロンに対する思いや考えを共有する

サービスの質を高める

エステサロンはお客様の身体を理想的なものにしていく場所ですので、スタッフの施術スキルや知識が大きく影響してきます。知識不足、あるいは雑な施術をするスタッフがいるエステサロンをリピートしたいとは思いませんよね。

効果の高い施術の提供やスタッフの豊富な知識量はお客様の信頼を高めます。サービスの質が上がり集客が安定してくると、さらにお客様のニーズに応えやすくなり、リピート率も上がっていきます。

スタッフ教育は、長期的にみるとエステサロンそのものの質を向上させてくれます。

スタッフの早期離職を防ぐ

スタッフ教育を充実させることはスタッフの離職を防ぐ効果も期待できます。
エステティシャンは機器の操作スキル、ハンドエステのスキル、専門知識の習得、カウンセリング術など、できるようにならなければいけないことの範囲が広いです。そのため、新人スタッフが自信を失くしてしまい、「自分には向いていない」と考えて離職してしまう可能性があります。

特に、美容業界は早期離職率が高いことで有名です。せっかく採用したスタッフに辞められてしまっては、採用にかけたコストや時間も無駄になってしまいます。しかし、育成がうまくいけばエステの運営やサービス提供に貢献できる人材が増えて、売上にも良い影響を与えてくれます。

教育者側が手厚くフォローすることで、スタッフの早期離職を防ぎましょう。

エステサロンに対する思いや考えを共有する

スタッフ教育を通して、エステサロンの理念やお客様への想いをスタッフとオーナーが共有できていると、両者が同じ方向を向いてサービスの質を上げていくことが可能になります。

どのような心持ちで働いてほしいかを伝えることでスタッフのモチベーションの維持を図れたり、どういう意図で研修をやっているのかを理解してもらうことができ、スタッフに納得感を持って教育を受けてもらいやすくなります。

スタッフ全員で前に進んでいける環境作りをすることも、教育の目的の一つです。

エステサロンのスタッフ教育に必要な内容

エステサロンのスタッフ教育を行う上で確実に押さえておきたい項目を把握しておきましょう。

  • 施術技術
  • ビジネスマナー
  • 接客
  • 専門知識

施術技術

エステティシャンの施術は、手または機械によるものになります。

どちらの施術方法でも、スタッフの技術力で大きく差が出てしまいます。エステサロンの施術は直接お客様に触れるため、実践を重ね、どのスタッフも同様の効果をもたらせる施術を行える状態を保つのが理想的です。

機械による施術、手による施術、どちらも場合によってはトラブルを起こす原因にもなり得ます。安全に施術を行うために注意すべき点についてしっかりと教育を行いましょう。

ビジネスマナー

社会人として働く上で必要不可欠なのがビジネスマナーです。エステで働く場合は特に言葉遣いや話し方、容姿に関しては注意深く教育を行うべきです。

エステサロンを訪れるお客様の中には雰囲気清潔感を大事にされている方もいらっしゃるので、それらを崩すようなアクセサリーや髪型には気を付けなければいけません。

ビジネスマナーの習得が不十分だとエステサロン全体に迷惑をかけることを十分に理解してもらい、協同者との関係性悪化やお客様からのクレーム、契約破棄などのトラブルを防ぎましょう。

接客

エステサロンにおいて、接客の良し悪しはサロンの印象を左右するため、集客やリピート率に影響を与えます。

常連のお客様に対しては親密度を上げられるような少し砕けたコミュニケーションが、スタッフに緊張している新規のお客様にはお客様の心情を汲み取って話に耳を傾ける姿勢が求められます。

エステティシャンはいかにお客様に合わせた対応ができるかが非常に重要です。接客を上達させるためには、経験を積むことが一番の近道ですので、実践形式での練習をしっかり行いましょう。

専門知識

エステティシャンはお客様の施術をする立場の人間として、美容に関する専門知識を習得する必要があります。

「この施術にはどういう意味があるのか」、「この肌の赤みは大丈夫なのか」といった質問に即座に答えられるようでないと、お客様を不安にさせてしまいます。施術後にホームケアの方法を尋ねられることも多いでしょう。

いただいた質問にしっかりと対応できる力を身に着けるためにも、日々の専門知識の習得が不可欠です。

エステサロンのスタッフ教育でやってしまいがちなNG指導法

スタッフ教育でついついやってしまいがちなNG指導法が複数存在します。スタッフ教育が上手くいかないという方はこれを機に見直してみましょう。無意識にNG行動をとっている可能性があります。

  • 上から目線になりすぎる
  • 感情的になってしまう
  • 発言に一貫性がない
  • 新人が理解できない言葉を使う
  • タスクの目的や背景を伝えない

上から目線になりすぎる

無意識にやってしまうのが、上から目線での指導

年齢も経験年数も上のオーナーやスタッフからしたら上から目線な発言が出てしまうのも仕方がないことかもしれません。ですが、新人にとっては上からの発言が自信を失ったり、向上心を削がれる原因になってしまいます。

責任者は上から物事を言うのではなく、新人スタッフに寄り添うような発言を心掛けてみましょう。

エステティシャンはお客様に寄り添うお仕事です。教育者側がスタッフに寄り添う姿勢を見せることで、スタッフにもお客様に寄り添う姿勢を取れるようになってもらいましょう。

感情的になってしまう

職場において教える側と学ぶ側のパワーバランスは、教える側に偏っています。その状態で教える側に熱がこもってしまうと、学ぶ側は委縮してしまいます。

委縮してしまうと上達することよりも怒られないようにすることに意識がいってしまい、質問がしづらくなるといったように、行動が起こしにくくなります。

新人スタッフが自主性を失う原因になりかねませんので、価値観や感情の押し付けには注意しましょう。

発言に一貫性がない

教えられる内容や発言が人や日によって異なると、新人スタッフは誰のどの言葉を信じたらいいかが分からなくなってしまいます。

教える側が複数人いる場合は伝える内容や伝え方を共有すること、気分で伝える内容を変えたりしないように教育者側がコントロールすることで、新人スタッフは安心して理解・納得ができます。

施術や機械の操作方法についての認識が行き違っていると、大きなトラブルに繋がる可能性もあります。教育内容をマニュアル化しておくなど、客観的に伝える内容や伝え方が把握できるものを用意しておくと良いでしょう。

新人が理解できない言葉を使う

専門用語やビジネス用語の多用は新人スタッフを混乱させます。

日々当たり前に使っている単語でも、新人にはとても難しく聞こえている可能性があります。特にエステ業界は専門用語が多く、新人にとって初めて聞く単語ばかりで覚えるのも大変です。「わからないなら質問すればいい」という意見もわかりますが、新人にとっては質問することでさえもハードルが高く、勇気が必要です。

ただでさえ習得する内容の範囲が広いエステティシャン。不明点が多いと、新人スタッフのモチベーションや自信の低下に繋がり、離職にもなりかねません。気を付けましょう。

タスクの目的や背景を伝えない

スタッフ教育で業務の概要ややり方ばかり教えていませんか。

そのタスクを行う目的や背景が見えないと、スタッフはなぜやらなければいけないのかがわからずに疑問や不信感を抱き、やる気の低下に繋がってしまいます。

「昔からやっているから」ではなく、どういう理由で行っていることなのかを同時に説明することで、新人スタッフも納得感をもってタスクに取り組むことができます。

エステサロンのスタッフ教育成功のコツ5選!

シークレットメス先述したNG行為に気を付けただけではエステサロンのスタッフ教育は上手くいきません。押さえるべきポイントが5つありますので、一つずつ説明していきます。

  • スタッフ自身に目標を立ててもらう
  • 実際に見本を見せる
  • 働きやすい労働環境を確保する
  • できる限り口を出さない
  • 客観的に評価をする

スタッフ自身に目標を立ててもらう

スタッフ自身に目標を立ててもらうのが重要です。

エステサロンの経営理念を理解した上で目標を立ててもらい、その目標を達成するためのアクションプランを考えてもらいます。

目標がないとスタッフは自分自身の頑張りを振り返る基準がなく、また教える側も基準がないとフィードバックができず、結果的に働くモチベーションの低下を招きます。

さらに、教える側が目標を立てるのではなく、スタッフ自身に考えてもらうのが大切です。成長速度は人それぞれですので、スタッフ自身が自分に合った目標を立てることで、働くモチベーションの維持を図ります。

実際に見本を見せる

サロンの施術に関しては、言葉で聞いただけではなかなか想像がつきにくいです。百聞は一見に如かずという言葉の通り、口で何度も説明するのではなく、実際に施術しているところを見てもらいましょう。

実際に先輩が施術しているところを見ることで施術のイメージができるようになり、業務への不安感も軽減できます。

どの施術でどこに気を付けるべきなのかを段階を踏んで伝えることで、新人スタッフの吸収・理解も促進されるでしょう。

働きやすい労働環境を確保する

長い間働きたいと思ってもらえるように福利厚生を整備することはもちろんですが、職場の心理的安全性の確保も重要です。

心理的安全性とは、「自分の気持ちや考えを誰にでも安心して話すことができるような状態」を指します。

心理的安全性が低い状態だと、新人スタッフの中で「分からない」が山積していき、モチベーションの低下や離職にまで繋がってしまう可能性があります。新人スタッフが質問しやすい環境を整え、彼らがストレスなく成長していけるようにしましょう。

定期的に1対1のミーティングを行ったり、新人スタッフの意見に耳を傾け、受け入れているという姿勢を見せましょう。徐々に新人も相談や質問がしやすくなってきます。

エステサロンはお客様に安らぎを与える場所でもあります。与える側のスタッフが不安を抱えた状態ではお客様は安心できません。スタッフが安心して働ける環境を用意しましょう。

できる限り口を出さない

スタッフ教育では、できる限り新人スタッフに考えてもらう機会を作りましょう。

「新人に任せると時間がかかってしまう」といったことを理由に、すぐに答えを教えてしまったり、教える側が代わりに行ってしまうというケースは多いと思います。しかし、それでは新人スタッフは成長しません。

「なぜ」「どうして」をしっかりと考えてもらい、様々なタスクをこなす際に考える癖をつけることで、スタッフの自主性を育むことができます。

カウンセリングやハンドエステの練習の際は、一旦新人スタッフ自身にどうすればいいかを考えてもらい、わからないところは教育者側が都度教えてあげましょう。

スタッフに自分で考える習慣が身につけば、それ以降の知識や技術の習得に教育者側の手間がかからなくなり、別の仕事に手を回すことができます。

客観的に評価をする

新人スタッフの業務を客観的に評価することも重要です。

教育者が適当に評価したり、業務へのフィードバックが抽象的だと、スタッフもどこを伸ばしていけばいいのかわからない上、仕事へのモチベーションも低下してしまいます。

例えば、カウンセリングについて評価をする場合、「言葉遣いは正しいか」「お客様の満足度はどうか」「次の予約に繋げられているか」などを5段階で評価します。なんとなくではなく、客観的な評価をすることで、新人スタッフも納得して評価を受けることができ、次のアクションに繋げやすくなります。

新人スタッフにとってもどの項目を伸ばしていけばいいのかが明確になり、彼らのやる気の向上も図れるでしょう。

まとめ

スタッフ教育は長期的に見てエステサロンの経営にプラスの影響を与えます。スタッフだけでなく、教える側も自分が今まで身に付けてきたスキルや知識を振り返る機会となり、エステサロン全体の成長に繋がります。

ある程度スタッフの自主性を保ちながらも献身的なサポートをすることで、スタッフにもお客様にも魅力的なエステサロンの実現を目指しましょう。