エステサロンのホームページやSNSをチェックすると、ビフォーアフター写真が掲載されているケースがあります。エステの効果を視覚的に理解しやすい一方で、本当にこの通り効果があるのか不審に思う方もいるでしょう。ビフォーアフター写真の広告効果は高いですが、利用する際には注意しなければいけないポイントも多いです。

そこで今回はビフォーアフター写真を使った広告について解説いたします。写真撮影のコツや注意点についても紹介しているため、広告の方法に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

  1. エステ業界でビフォーアフター写真はアリ?
  2. ビフォーアフター写真を使用するメリット
  3. エステサロンのビフォーアフター写真撮影術
  4. エステサロン経営で知っておきたい法律
  5. ビフォーアフター写真掲載時の注意点
  6. 根拠に基づいた正しい情報を伝えよう

エステ業界でビフォーアフター写真はアリ?

エステ業界において、ビフォーアフター写真をホームページやSNSに掲載したり、広告に使用したりすることは禁止されていません。エステによる効果をわかりやすくユーザーに伝えることができるため、昔からよく使われてきた手法です。

しかし、ビフォーアフター写真の掲載が問題となったケースもあります。具体的にどのような点が問題となったのかを紹介します。

効果を偽って広告を掲載するお店が増えた

ビフォーアフター写真は、高い広告効果が期待できます。本来であれば、効果を出すためにエステメニューの工夫を行ったり、施術者のスキルをアップさせたりしなくてはいけません。

しかし、一部の店舗では効果が薄い施術を行っているにも関わらず、多くの集客を実現するためにビフォーアフター写真を悪用し、広告を掲載するようになりました。

もちろん、これらの行為には法的な問題があります。こういった背景があり、ビフォーアフター写真そのものが、問題視されるようになりました。

しかし、ビフォーアフター写真そのものが問題というわけではありません。法律に則って掲載をすれば、ビフォーアフター写真は効果的な広告手段となるでしょう。

ユーザーが不審に思う可能性がある

ビフォーアフター写真によって誇大広告を行っているというのは、ユーザーにとっても知らない話ではありません。「本当に効果があるのか?」「嘘をついているのではないか?」と思ってしまうユーザーもいます。

そのため、正しいビフォーアフター写真を掲載していても、それが真実だと受け取ってもらえない可能性があります。ビフォーアフター写真は広告効果が高い一方で、こういった側面があることも理解しておきましょう。

ビフォーアフター写真を使用するメリット

ビフォーアフター写真を使用するメリットは以下の通りです。

  • お客様により効果を実感してもらえる
  • 新規顧客の来店を促せる

それぞれ具体的な内容について紹介します。

お客様により効果を実感してもらえる

施術を行ったお客様が、施術前の写真と現在の状態を比較することで、より効果を実感してもらえます。お客様は効果が実感できないと、途中でエステサロンの利用をやめてしまうかもしれません。

ビフォーアフター写真を撮影することで、効果を視覚的に確認できる状態にし、お客様に信頼感を与え、エステサロンから離れてしまうのを防ぐことが可能です。

新規顧客の来店を促せる

お客様はより高い効果が期待できるエステサロンを利用したいと考えています。ビフォーアフター写真を使って、効果が明確に確認できれば利用したいと思う方も増えるでしょう。

これから利用するエステサロンを探しているお客様に対しては、高い集客効果を発揮する広告手法です。

エステサロンのビフォーアフター写真撮影術

ビフォーアフター写真を撮る際には、なるべく同じ条件にすることを心掛けましょう。ビフォーの写真をメイクあり、アフターの写真をメイクなしで撮影すると効果がわかりづらいです。

両方ともメイクなしで撮影を行いましょう。色の効果で痩せたり、太ったり見えるのを防ぐために、洋服も同じものを着用することが大切です。ライトの当たり方や立ってもらう位置なども同じになるように工夫してください。

エステサロン経営で知っておきたい法律

ビフォーアフター写真を掲載する上で、以下の法律について理解をしておかなくてはいけません。

  • 薬機法
  • 景品表示法
  • 医師法

違反すると重い罰則を受ける可能性もあります。十分に注意した上で、ビフォーアフター写真の掲載を行いましょう。

薬機法

薬機法とは「医療行為」「医師行為」であるような表現を禁止している法律です。具体的には「シミが消える」「脂肪を分解する」などの医療行為だと誤解されそうな表現や「10分で激やせ」「たった3回の施術で効果あり」などの根拠のない数字を使った表現は禁止されています。

景品表示法

景品表示法とは商品やサービスを事実よりも良く見せたり、多いように見せかけたりすることを防止している法律です。ビフォーアフター写真を偽って掲載するのは、サービスを良く見せることにつながるため、景品表示法違反に該当します。

景品表示法違反となるケースには、以下の2つがあります。

  • 優良誤認
  • 有利誤認

優良誤認

優良誤認とは、商品やサービスの品質、規格などの内容に関する不当表示のことです。「業界初」「最新」などの根拠のない最上級表示や「塗るだけで若返る」のような根拠が明確になっていない効果の掲載などが優良誤認に該当します。

有利誤認

有利誤認とは、商品やサービスの品質、規格などの条件に関する不当表示のことです。「他社の2倍配合」のように記載しているのに実際は同じ量だったり、通常料金が5,000円にも関わらず「今なら5,000円で施術可能」と掲載するのは有利誤認に該当します。

医師法

医師法とは、医師免許や医療行為に関する表現を禁止する法律です。薬機法と似ていますが、別の法律である点には注意をしましょう。「治療」「診断」などが医療行為と誤解させる表現に該当します。

薬機法、景品表示法、医師法については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ、あわせてご確認ください。

エステサロン広告の禁止表現とは?NG例を紹介

詳細内容はこちら

ビフォーアフター写真掲載時の注意点

ビフォーアフター写真を掲載する際には、注意しなければならないポイントがあります。

  • 施術や期間中の生活について詳しく記載する
  • 誰でも同じ効果が得られると思わせない
  • 医療行為であるかのような記述は避ける

注意しないと法律違反になる可能性もあります。内容についてしっかり理解をしておきましょう。

施術や期間中の生活について詳しく記載する

エステによって効果が出ているのか、他の要素によって効果が出ているのかを明確にするために、施術や期間中の生活については詳しく記載しましょう。

エステで効果が出たとビフォーアフター写真を掲載していたのに、生活習慣や運動習慣の改善によって効果が出ていた場合は、事実を誤認させたとして景品表示法違反になる可能性があります。

誰でも同じ効果が得られると思わせない

エステは人によって効果の表れ方に個人差があります。誰でも同じ効果が得られると思われてしまうと、事実の誤認に繋がります。そのため「効果には個人差があります」「絶対に効果が得られることを保証するものではありません」などの文章を記載するようにしてください。

医療行為であるかのような記述は避ける

薬機法を遵守するために、医療行為であると思われるような記述は避けましょう。厚労省のガイドラインにはどういった表現が医療行為と思われるかが定められているため、広告に掲載する文言を考える際には、事前に確認することをおすすめします。

根拠に基づいた正しい情報を伝えよう

ビフォーアフター写真を掲載して、法律に反しないためには正しい情報を伝えることが大切です。多くの顧客を確保するために、少しでも良いように思われる表現をしたくなる気持ちもあるでしょう。しかし、各種法律の内容に従って、ありのままの結果を伝えるようにしてください。

誇張したビフォーアフター写真によって一時的に顧客が確保できても、リピーターになってもらえない可能性もあります。集客の施策とあわせて、サービス内容の見直しも行うようにしてください。