エステには施術の内容や目的によって様々な種類があり、それらは年々多様化してきています。エステサロンの開業を検討している方にとって、開業するエステサロンの種類や方針は、事業を成功させる上での重要な要素となります。

今回のコラムでは、エステの種類やそれぞれの特徴について詳しくご紹介します。サロンを開業する際にコンセプトやメニューを決定する際のポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

  1. 年々多様化するエステサロン
  2. 施術内容によって異なるエステの種類
  3. 営業形態によって異なるエステの種類
  4. サロンのメニュー・コンセプト決めのコツ
  5. 施術や目的の特徴を生かして開業しよう

年々多様化するエステサロン

訪問エステやブライダルエステが新たに普及しつつあるなど、エステサロンの種類は年々多様化しています。主な要因としては、年齢や性別を超えて美容への関心が高まっており、顧客のニーズが多様化していることが挙げられます。

どのような顧客をターゲットとするかによって、エステサロンの種類や取り入れるべき施術は異なってきます。従って、エステ事業を成功させるためには、エステサロンの種類について把握しておくことが欠かせません。

施術内容によって異なるエステの種類

施術内容に着目すると、エステサロンは以下のように分類することができます。

  • フェイシャルエステサロン
  • ボディ・痩身エステサロン
  • 脱毛サロン
  • リラクゼーションサロン
  • マッサージサロン

フェイシャルエステサロン

フェイシャルエステサロンでは、顔から首、鎖骨あたりまでの範囲を中心に施術を行います。お客様が抱える、以下のような悩みを解消することが主な目的です。

  • シミ・くすみ・シワ
  • 毛穴
  • たるみ
  • 吹き出物

顔周りについての悩みはデリケートなものが多いです。そのため、丁寧なカウンセリングで悩みを聞き出してくれるサロンや、お客様1人1人の悩みに特化したメニューを提供しているサロンがお客様に信頼されやすいと言えます。

エステティシャンのハンドケアによって施術を提供することが一般的ですが、最近では、美容機器を使用して即効性をアピールするサロンも増えてきています。

ボディ・痩身エステサロン

全身の施術を取り扱うボディエステや痩身エステ。以下のような、多様な悩みを抱えたお客様が利用することが大きな特徴であるため、様々なニーズに応えたメニュー作りが売上アップに繋がると言えます。

  • 肩こりを解消したい
  • ウエストを引き締めたい
  • 太もものセルライトを除去したい
  • 脚のむくみを取り除きたい

また、マッサージやリフレクソロジー(足の裏や手の平などカラダの一部分を刺激する施術)といった手で行う施術だけでなく、痩身機器を用いる施術も広く実施されています。

脱毛サロン

脱毛サロンで行われる施術は、大きく以下の2種類に分けられます。

  • 光脱毛
  • ワックス脱毛

マシンから照射される光によって毛を生えにくくする光脱毛は、資格や免許がなくても事業を始められることが大きなメリットであると言えます。しかし、脱毛サロンに必要な機器は非常に高額であり、初期費用が高くなってしまうことが難点です。

ワックス脱毛では、ハードタイプのワックスを使ってムダ毛を毛根から一気に取り除きます。光脱毛より大きな痛みを伴う施術であるため、専門的な知識やスキルが求められます。

リラクゼーションサロン

リラクゼーションサロンでは、主に以下のような施術が行われます。

  • アロママッサージ:肌に直接オイルをつけて行う施術
  • スカルプケア:頭皮のコンディションを整える施術
  • ヘッドスパ:頭皮を洗浄しながらマッサージする施術
  • オステオパシー:身体の歪みを解消する施術

日常生活でたまった疲れを癒すために来店するお客様が多いことから、施術スキルだけでなく、非日常感を提供できる質の高い接客が求められます。

また、高級感のある内装や聞き心地の良いBGM、リラックス効果のある香りのアロマオイルなどを取り入れることで、特別感のある空間を作るのもおすすめです。

マッサージサロン

お客様に癒しを提供するリラクゼーションサロンとは異なり、マッサージサロンでは、主にお客様の身体の不調をケアするための施術を行います。

スタッフの手技による施術が主流ですが、マッサージオイルやプレート状のかっさを使ってマッサージを実施するサロンも少なくありません。

営業形態によって異なるエステの種類

営業形態に着目すると、エステは以下のように分類することができます。

  • スパエステ
  • 訪問エステ
  • ブライダルエステ
  • メンズエステ
  • セルフエステ

スパエステ

スパエステとは、ホテルや温泉旅館、高級リゾートなどに併設される施設で受ける施術のことを指します。

ホテルや旅館の格式に合った施術スキルや、一流の接客術が求められることが大きな特徴です。施術に使用する化粧品やオイルについても、高級なものが採用されていることが多いです。

訪問エステ

店舗を持たずに開業できる訪問エステ。家事や子育て、介護で多忙な方や妊娠中の方など、長時間の外出が難しいお客様のニーズに応えて近年普及しつつあります。

お客様が希望する場所で施術を行うため、訪問先の状況に臨機応変に対応して施術の質をキープすることが求められます。また、施術に必要な備品を持ち運ばなければならず、自動車免許の取得がほぼ必須となります。

訪問エステの需要の高まりを受けて、持ち運びやすいコンパクトな設計の業務用エステ機器が近年多く販売されています。そのため、訪問先にエステ機器を持ち込んで施術を行うエステティシャンが増えてきています。

ブライダルエステ

ブライダルエステは、結婚式を控えた花嫁をターゲットとしています。自分史上最高にきれいな状態で結婚式を迎えるために訪れる方を施術する以上、お客様の期待に応えられるような施術スキルが要求されるでしょう。

  • 首元
  • 鎖骨周り
  • 二の腕

ドレスを着る時に露出する上記のような部位に、脱毛や美肌ケアといった施術が主に実施されます。ドレスを美しく着こなすために、全身のケアを希望するお客様も多くいます。

また、ブライダルエステでは基本的にリピートが発生しないため、幅広いメニューを展開して1度に多くの施術を受けてもらうことが売上アップに繋がると言えます。

メンズエステ

男性の美意識が向上していることを背景に、男性をターゲットとするメンズエステが徐々に浸透しつつあります。

ヒゲ脱毛のような男性に特化した施術だけでなく、フェイシャルや痩身など、女性向けのエステサロンで行われる施術も実施されています。また、男性向けにブライダルエステを取り入れているサロンもあるようです。

セルフエステ

貸し出された機器を使って自分で施術するセルフエステには、以下のようなメリットがあります。

  • 低額で利用できる
  • 施術中に誰にも身体を見られない
  • 施術する部位を自由に選択できる

エステティシャンが施術を行わないセルフエステの場合、メニューの内容を工夫したり接客にこだわったりすることはできません。

お客様の満足度を高めるためには、料金設定をわかりやすくしたり、豊富な機能を搭載したエステ機器を導入して多様なニーズに応えることが求められます。

サロンのメニュー・コンセプト決めのコツ

サロンの強みエステサロンは資格がなくても開業できることから、新たに事業を始めるハードルが低いです。しかし、開業後1年で約半数、3年以内に約90%が廃業に追い込まれるという厳しい側面もあります。

競争の激しいエステ業界において、お客様に選ばれるサロンを経営し続けるためには、開業する際に以下の2つの段階を踏むことが非常に重要となります。

  1. 競合サロンをしっかりと調査する
  2. イメージしやすいコンセプトを作る

競合サロンをしっかりと調査する

エステサロンで安定した集客力を維持するには、お客様のニーズに応えるだけでなく、他店との差別化を図ることが欠かせません。近隣店舗のコンセプトやメニュー、客層について念入りに調べておきましょう。

競合サロンとは異なるコンセプトを打ち出すことで、競合サロンに物足りなさを感じるお客様をターゲットとして集客することができます。

また、様々なサロンについてネットで調査し、ホームページやSNSを利用した情報発信や集客の方法を参考にしても良いかもしれません。

イメージしやすいコンセプトを作る

  • ターゲット層
  • サロンの強み
  • 目指せる姿

以下のような内容を盛り込んだコンセプトを設定することをおすすめします。コンセプトを見たお客様に「ターゲット層に当てはまっている」「目指せる姿が自分の理想と一致している」などと感じてもらえれば、より来店に繋がりやすくなります。

ターゲットが自分に当てはめて、なりたい姿を具体的にイメージできるようなコンセプトを設定してみてください。

施術や目的の特徴を生かして開業しよう

お客様のニーズに合わせて年々細分化する、エステサロンの種類についてご紹介してきました。

新しくエステ事業をスタートさせる場合、その種類によって事業の成功に必要なポイントが異なります。

それぞれの特徴を把握した上で方針を決定し、コンセプトやメニューの設定を工夫することが、「お客様に選ばれるエステサロン」を実現させる1番の近道だと言えるでしょう。