エステサロン経営ノウハウ
エステサロンで回数券を導入するメリットや注意点を解説!
多くの美容系サロンで取り入れられている回数券。お客様にお得感を与えたり、継続して通ってもらったりできるため、売上の向上が期待できます。しかし、エステサロンで新たに回数券を導入する場合、価格や使用期限など様々な要素を考慮しなければなりません。
今回のコラムでは、エステサロンで回数券を取り入れるメリットを解説していきます。サロンで新たに回数券を導入する際に注意すべきポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
- エステサロンで回数券を導入するメリット
- エステサロンにおける回数券のデメリット
- 回数券のプラン設定のポイントとは
- 回数券を購入してもらう際の注意点
- 売上管理について決めておくべきこと
- 特徴を理解して効果的に回数券を導入しよう
エステサロンで回数券を導入するメリット
エステサロンで回数券を導入すると、以下のようなメリットがあります。
- お客様にお得感を持ってもらえる
- 継続的に来店してもらえる可能性が高まる
- 安定した売上が見込める
- 施術計画が立てやすくなる
お客様にお得感を持ってもらえる
回数券を利用する場合、1回の施術価格が通常よりも安くなることが一般的です。より安く施術を受けられることでお客様にお得感を与えられるのは、回数券の大きなメリットであると言えます。
また、回数券によってお得に施術を受けられる分、別の施術メニューを追加で頼んだり、化粧品や美容機器などの物販を購入してくれるお客様も多いです。そのため、回数券に含まれるメニュー以外の施術や商品による追加の売上が期待できます。
継続的に来店してもらえる可能性が高まる
エステサロンを訪れるお客様は、1度施術を受けてその後来店してくれないということも珍しくありません。一方、回数券を購入するお客様は、再来店する意思を持っていると考えられます。
エステサロンで販売されている回数券は、使用期限が設定されていることが一般的です。期限までに来店しないと支払ったお金が無駄になってしまうという緊急性から、継続的に来店してくれるお客様の増加が期待できます。
また、サロンにしばらく来店していないお客様が期限内の回数券を持っている場合、有効期限が迫っていることをDMなどで告知して、再来店を促すことも可能です。
安定した売上が見込める
返金や解約などのイレギュラーな事態が発生しない限り、お客様が回数券を購入してくれた時点でまとまった売上を確保することが可能です。そのため、回数券を取り入れると安定した売上を獲得しやすくなると言えます。
多くの企業やお店では、顧客の質の基準としてLTV(顧客生涯価値)を重視しています。LTVは、お店や企業が顧客から生涯にわたって得られる利益を示す指標です。
エステサロンの場合、1人のお客様が継続してサロンに通い、何度も施術を受けてくれるほどLTVが高くなります。
回数券を買うお客様はサロンを気に入ってくれていると考えられるため、継続して通い続けてくれることでLTVが高くなりやすいです。大きな利益をもたらしてくれる優良な顧客が増えるほど、エステサロンの売上は安定しやすくなると言えます。
施術計画が立てやすくなる
エステサロンで行われるフェイシャルや痩身などの施術は、ある程度継続して通ってもらうことを前提としている場合が多いです。来店する間隔や回数などをスタッフとよく相談した上で施術計画を立て、経過に応じて調整していくことで施術の効果が出やすくなります。
しかし、次回来店してくれるかどうかが分からないお客様と今後の予定を相談することは難しいです。
回数券を購入してくれるお客様は、回数券で決められた分の来店がほとんど確定していることから、長期的な施術計画が立てやすくなります。
エステサロンにおける回数券のデメリット
エステサロンで回数券を取り入れる場合、以下のようなデメリットが考えられます。
- 客単価が低下しやすい
- スタッフのモチベーション維持が難しい
- 回数券を使い切った後の来店は保証されない
- 管理する手間がかかる
客単価が低下しやすい
通常よりも低価格で施術を受けることができる回数券。決められた施術以外のメニューや物販を通してさらなる売上が期待できるとお伝えしましたが、回数券で受けられるサービスだけを利用するお客様も少なくありません。
安定した売上を確保できる一方で、客単価が低下しやすいことが難点だと言えます。「他の施術メニューや物販を積極的に勧める」「施術時間の延長を提案する」など、スタッフによる客単価を上げるための働きかけが求められます。
スタッフのモチベーション維持が難しい
エステサロンで働くスタッフには、高度な施術スキルが要求されます。日々の鍛錬によって磨いてきた技術に誇りを持っているエステティシャンも多いでしょう。回数券によって施術単価が安くなると、自分のスキルを安売りされていると感じる方もいるかもしれません。
むやみに価格を下げ過ぎると、スタッフのモチベーションが低下してしまう可能性があることを頭に入れておきましょう。
回数券を使い切った後の来店は保証されない
回数券を所持しているお客様の中には、「施術の効果を手に入れたい」というよりも、「回数券を使い切らないともったいない」と感じてサロンを訪れる方も多くいます。
そのようなお客様は、回数券を使い切るとサロンに来店する動機を失いやすく、その後来店してくれる保証はありません。
回数券を使い切ったお客様に継続的な来店を促すためには、使用期間中にサロンのことを気に入ってもらう必要があります。お客様により効果を実感してもらえるような質の高い施術や、特別感を与えられる品のある接客を心掛けましょう。
管理する手間がかかる
回数券は紙で発行されることが一般的であるため、サロン側は利用者に関する情報を確実に把握しておかなければなりません。お客様とのお金のやり取りでミスが生じると、サロンの信用が失われてしまうため、以下のような正確な対応が求められます。
- 回数券の利用者とそうでない方の施術料金を区別する
- お客様が来店時に券を忘れた場合は次回の施術時に2回分消化する
回数券のプラン設定のポイントとは
エステサロンで新たに回数券を導入する際には、期間や価格、施術内容などを細かく設定しなければなりません。より大きな成果を挙げるためには、以下のようなポイントを押さえて回数券のプランを設定すると良いです。
- 価格を下げ過ぎない
- 閑散期を考慮して販売・使用期間を決める
- セットメニューや特典を設ける
価格を下げ過ぎない
回数券によって施術単価が下がることは、お客様の来店意欲を大いに高めてくれるでしょう。ただし、むやみに価格を下げることはおすすめできません。
先程ご紹介したように、スタッフ1人1人が行う施術の価値を下げることは、スタッフのモチベーションの低下に繋がる恐れがあります。また、必要以上に価格を下げると思うような利益が得られず、経営状態が悪化してしまうかもしれません。
店舗の経営やエステティシャンの思いを考慮し、慎重に価格設定を行いましょう。施術単価の平均が2万円を切らないことを1つの目安としてみてください。
閑散期を考慮して販売・使用期間を決める
回数券の使用期間が長すぎると、お客様に「今来店しなければ」という緊急性を与えることが難しくなります。一方、期間内に消化できないほど短くしてしまうと、購入してもらえなくなってしまうでしょう。
お客様の平均的な来店スパンより少し短いくらいの間隔を空けて、使用期間を設定することをおすすめします。
また、一般的なエステサロンの閑散期は、1月中旬から2月、6月、11月と言われています。客数が減少する閑散期に合わせて販売期間や使用期間を設定すると、回数券によるまとまった売上を獲得でき、閑散期の売上の低下を防げるでしょう。
セットメニューや特典を設ける
回数券を多くのお客様に購入してもらうためには、回数券によって受けられるサービスの内容を魅力的にすることも大切です。
メインとなる施術は、「〇回の施術でリフトアップを実現」というように、施術の回数と期待できる効果を盛り込んだコピーを用いて訴求しましょう。お客様が叶えたい理想を具体的にイメージできるため、来店に繋がりやすくなります。
また、化粧品をプレゼントする、「今なら〇回分プラス」と期間限定で回数を増やすなど、お客様にお得感、おまけ感を提供できるオプションを追加することも有効です。
回数券を購入してもらう際の注意点
お客様に回数券を購入してもらう際には、以下の2点に注意する必要があります。
- 必要に応じて書面を交付する
- 解約の条件をお客様と共有しておく
必要に応じて書面を交付する
エステサロンでサービスを提供する際、契約金額が5万円を超え、かつ契約期間が1ヶ月以上となる場合は、以下の2つの書類を交付する必要があります。
- 概要書面
- 契約書面
概要書面は、サロンがお客様に契約内容を説明してから契約を結ぶまでの間に交付され、お客様が契約を結ぶかどうかを判断する際に知っておくべき情報を示しています。主に、お客様が検討している施術メニューの詳細が記されることが一般的です。
一方、契約書面はサロンとお客様が契約を結ぶ際に交付されます。料金の支払方法や支払時期、サロンの特約事項などが記載されることが多いです。
サロンが書類を交付していない、書類に不備があるといった場合には、お客様の意思による解約が無条件で認められます。記載すべき内容を念入りに確認し、漏れのない書面を用意しましょう。
解約の条件をお客様と共有しておく
お客様から回数券を購入するに当たって結んだ契約を取り消して返金してほしい、途中まで消化したけれど残り回数分の金額を返してほしいといった要望をされることもあります。
回数券を購入する際に結んだ契約を解除する条件については、前もってはっきりと伝えておくことが大切です。お客様に伝えた証拠を残すため、書面で伝達することをおすすめします。
また、契約金額が5万円を超え、かつ契約期間が1ヶ月以上であることを条件として、エステサロンでは以下の2つの制度が適用されます。
- クーリングオフ
- 中途解約
クーリングオフは、お客様が契約日から8日以内に申し出た場合、手数料を負担することなく契約を解除できる制度のことを指します。
一方、中途解約の場合はお客様が解約手数料を負担する必要がありますが、契約期間内であれば、サロン側には支払い過ぎた金額を返金する義務が生じます。
回数券を購入したお客様に中途解約が適用される場合、サロン側は施術の残り回数に相当する金額を返金しなければなりません。
売上管理について決めておくべきこと
回数券を導入する場合、1度に複数回の施術分の料金がまとめて支払われるため、売上管理の仕方が通常とは異なります。以下の2点について、サロンで決まり事を作っておくことをおすすめします。
- 売上に計上するタイミング
- スタッフ個人の売上
売上に計上するタイミング
エステサロンでは、経営状態を把握するために1日ごとに売上を算出することが一般的です。回数券を購入したお客様の売上は、以下の2つの方法で計上することができます。
- 回数券を販売した日に回数券に支払われた料金の全額を売上として計上する
- お客様が回数券を消化した日にそれぞれ1回分の売上を計上する
また、途中で返金や解約が発生した場合、その分の売上をどのように扱うかを決めておくと良いでしょう。
スタッフ個人の売上
歩合制で給料を支払っているサロンでは、スタッフ1人1人の売上を正確に算出しなければなりません。
回数券を購入したお客様の施術を担当すると施術単価が下がり、そのスタッフの売上も減少してしまいます。スタッフを公平に評価できるような制度作りが求められます。
特徴を理解して効果的に回数券を導入しよう
エステサロンで回数券を取り入れる際には、価格や施術内容、使用期間などを決定したり、管理方法を考えたりと念入りな準備が必要です。しかし、メリットやデメリットを把握して活用すれば、サロンの売上の向上に大きく貢献してくれるでしょう。
サロンの売上を安定させたい、継続して通ってくれるお客様を増やしたいと考えている方は、ぜひ回数券の導入を検討してみてください。
この記事の執筆者
業務用痩身機器比較サイト編集部
業務用痩身機器比較サイトは、元エステサロンオーナー、元美容機器メーカー営業をはじめとした美容のプロが業務用痩身機器を徹底比較して紹介するWebサイトです。エステサロンの運営に長年携わってきたノウハウを活かし、サロン経営に挑戦する方にとって役立つ集客の方法や売上を伸ばすコツ、痩身機器の選び方なども紹介してまいります。