エステサロン経営ノウハウ
エステサロン開業前に準備すべきことについて
エステサロン開業の前に、用意しておくべきことや確認しておくべきことはたくさんあります。
「独立したい!エステサロンを開業したい!」と思っていても、「具体的に何からやればいいのかがわからない……」という方は多いはず。
起業したいという方は、どちらかというと少数派。
具体的に何から始めればよいかを相談できる相手が近くにいないという方も多くいらっしゃいます。
この記事では、エステサロン独立を目指す起業家向けに、業界の現状からエステサロンオープンまでの流れや準備すべきことをまとめたので、是非、ご一読ください。
- エステサロン業界の現状
- 開業準備の流れ【準備から開店まで】
- エステサロンのコンセプト設定
- 事業計画書と資金計画書の作成
- サロン物件探し
- エステサロン開業・運営資金調達について
- エステサロン内装工事施行について
- エステサロン開業前の告知
- オープン後にすべきこと
- まとめ
エステサロン業界の現状
一昔前は、お客様がエステサロンでしつこい勧誘を受けて無理矢理に契約をさせられてしまう事例が多発しており、消費者センターへのお問い合わせが増加するという傾向がありました。
こういった事例が多くなったことをきっかけに、契約してから8日間までであれば、お客様に返金するといったクーリングオフ制度を導入。
法律も厳格になったことで、過度な勧誘を一切しないサロンも増加しています。
現在は、手軽に施術ができるエステサロンも増え、サロンの存在が身近になったことにより、独立開業はしやすくなりました。
しかし、昔と比べて業界参入のハードルが下がった分、業界でエステサロンが残っていくには、その店舗にしかできない独自のサービス内容やリピート顧客を増やせるかがポイントと言えるでしょう。
開業準備の流れ【準備から開店まで】
- エステサロンのコンセプトの設定
- 事業計画書と資金計画書の作成
- サロン物件探し
- エステサロン開業資金・運営資金調達
- 内装工事施工
- 告知準備
- オープン
準備から開業までの流れは上記の通りです。
夢のエステサロン開業まで、詳細な準備内容について解説していきます。
エステサロンのコンセプト設定
まずは、具体的にどのようなコンセプトで運営をしていくのかといったことを決めていく必要があります。
繊細な部分まで具体的なコンセプトを決めることができれば、理想のサロンに近づけます。
最初のコンセプトでヒットするか否かも決まるので、1年以上前から準備しておきましょう。
6W2Hで決めよう
- When/いつ(時間の要素。期限、時期、期間など)
- Where/どこで(場所の要素。待ち合わせ場所や現場、訪問先など)
- Who/誰が(人の要素。担当者や責任者、プロジェクトメンバーなど)
- Whom/誰に(人の要素。取引先となる顧客やターゲットとなるもの)
- What/何を(内容の要素。仕事内容や依頼内容など)
- Why/なぜ(理由の要素。仕事の理由や目的、意義など)
- How/どのように(方法の要素。方法や手段など)
- How much/いくらで(費用の要素。コストや売上、損失など)
具体的なコンセプトを決めていく上で、6W2Hで綿密に決めていきましょう。
まずは、「誰に」・「何を」の2つの内容をブレないように設定するのがおすすめ。
この2つの方向性を決めることで、サロンの方針が明確になります。
明確に決まった後は、最終的に、「誰に」・「何を」以外も細かく決めることで、具体的なエステサロンのコンセプトが出来上がります。
ざっくりとしたコンセプトはNG
エステサロンを開業していく上で注意すべきことが、ざっくりとしたコンセプトになってしまう点です。
例えば、「身体も心も安らぐ美容エステ」といった漠然としたコンセプトを設定してしまうと、他店との差別化が難しくなりますよね。
コンセプトを決める時は、サロン独自のものを考え出し、魅力を言葉で明確にすることが重要。
「このエステサロンにしかない強み」をコンセプトに入れることで、顧客にとっては魅力的なものに見えます。
ターゲティング・他店リサーチ
コンセプトが固まってきた後は、どのような顧客層を狙うのかといったターゲティングを決めていきましょう。
例えば、「エステ=高い」と認識している層に、通いやすい庶民的なサロンをPRしていくのかであったり、「美容には時間もお金も惜しまない」という富裕層に向けて高級サロンを告知していくのかといった、どのような顧客層にアプローチしていくのかといったターゲティングを考える必要があります。
また、自身が開業する物件と同じ地域の店舗情報(施術メニューや価格)を徹底的にリサーチすることで、その地域の市場事情が把握することができます。
マーケット事情が分かることで、どのような予算で開業し、運営資金を投じれば良いかといった目安が掴めるので、徹底したリサーチをしてみてください。
事業計画書と資金計画書の作成
起業する上で、半数以上の方が金融機関や公庫からの創業融資から融資を受けることになるため、問題無く融資を受け取るためにも事業計画書を明確に記載しておく必要があります。
創業融資を受けてエステサロンを運営したいという方であれば、事業計画書とともに資金計画書も作成するのもおすすめ。
金融機関は資金の返済に充てる収入があるかをポイントとして見ているので、予定されるお金の動きが分かる資金計画書を金融機関に提示する書類として準備しておきましょう。
事業計画書
事業計画書は、決まったフォーマットはありません。
そのため、どの融資担当者であっても相手に伝わる事業計画書を作成する必要があります。
事業計画書を作成していく上で、必ず入れておくべき項目についてまとめました。
①企業概要
企業概要では、サロンとオーナーのプロフィールに当たる箇所。
サロン名や事業形態、代表者、サロンの所在地、従業員数などの基本的な情報とオーナーの今までの経歴や実績、開業の動機などを記載していきます。
物件が決まっていない方は、予定地の住所は記載しておきましょう。
②経営方針
エステサロンを経営する目的や指針です。
オーナーがサロン経営を通して、将来的にどのような社会的役割を果たし、人々に価値を与えて展開していくのかを記載していきます。
③事業内容
その名の通り、事業全体の概要を分かりやすく記載したものです。
客観的なエステ業界の市場動向や、運営するエステサロンの位置づけ、施術の特徴や販売物などを挙げ、顧客に必要とされる理由やメリットをまとめましょう。
④事業展開戦略
顧客のターゲット層や、今後、どのように事業を拡大していくのかといった計画を書いていきます。
将来目標なども併せて具体的に書いていきましょう。
資金計画書
資金計画書作成では、利益に着目することが大事。
利益発生の仕組みや、具体的な返済計画などを書いておくことで、融資担当者への説得力が増します。
また、資金計画書を作る上で、運転資金が現実的に運用できる規模で設定されていることが重要です。
融資担当者は、提示された融資額の内訳を細かく確認してくるので、抜け漏れがないようにしましょう。
資金の流れについては、口頭でも説明ができるように事前に準備をしておくことで、スムーズに融資の借り入れができるでしょう。
①設備資金費用
- 店舗賃貸日(敷金や礼金などの補償金、仲介手数料、前家賃や火災保険料)
- 内外装工事費(設計デザイン費や施工費など)
- 美容設備費(美容機器やベッド、リクライニングシート、タオル蒸し器など)
- 運営設備費(事務用のパソコンや電話、家具や小物)
- 原材料費(化粧品やアロママッサージ用のエッセンシャルオイルなど、エステの施術に使う消耗品の費用)
- 広告宣伝費(看板やチラシ、ホームページ制作などの費用)
設備資金費用とは、一時的に発生する資金のこと。
エステ機器などの設備を購入する際は、見積書・契約書を保存し、資金計画書と併せて提出しましょう。
②運転資金費用
- 給与(オーナーの報酬やスタッフの給与)
- 法定福利(社会保険や雇用保険、労働保険など)
- 賃料(店舗の賃貸料金。自宅サロンの場合は面積比で賃料を計上)
- 広告宣伝(チラシやWEB広告の費用や毎月のホームページ運営費)
- 通信(電話やFAX、インターネットの通信料)
- 水道高熱(電気やガス、水道の使用料)
- 交通(オーナーやスタッフの通勤費や取引先への訪問費)
- 顧問(税理士や社会保険労務士、弁護士に依頼する場合に発生)
- その他(交際費や融資利息など)
継続的に発生する経費のことを運転資金と言います。
毎月発生する費用なので、12ヵ月分の金額を記載しましょう。
サロン物件探し
最初に決めたコンセプトに基づいて物件を選んでいきます。
基本的に、最初に決めないといけないのが、どこの地域で開業するのかといったこと。
地域によっては、競合店舗が多いケースもあるので、予め調査をしておく必要があります。
その後に自宅か、賃貸マンションの1室かを選択。
自宅と賃貸では資金が変わってくるので、予算を見ながら決めていきましょう。
自宅でエステサロンを開業する場合
- 賃貸補償金など(0円)
- 内装費(20万円)
- 設備機器費(10万円~50万円)
- 消耗品費(10万円)
- 宣伝広告費(30万円)
一般的に、自宅での開業には内装費がかかります。
全国のエステサロンの平均を見ると、20万円程度と言われており、必須品のエステ機器では約10万円~50万円程。
タオルやシーツなどの消耗品や宣伝広告費などを計算していくと、年間で10万円から30万円程かかる計算になります。
賃貸マンションの一室で開業する場合
- 賃貸補償金など(120万円~240万円)
- 内装費(200万円)
- 設備機器費(10万円~50万円)
- 消耗品費(10万円)
- 宣伝広告費(30万円)
補償金などの賃料で自宅開業と比べて初期費用が高くなります。
家賃が半年~1年分として120万円から240万円程かかり、内装費も平均して約200万円……
しかし、エステサロンとして使っていた居抜き物件であれば、大幅にコストを下げることも可能に。
全ては、最初に決めたコンセプトなどによって、掛かるコストが変わってくるので、物件を探す際には、予め計算をしておく必要があります。
エステサロン開業・運営資金調達について
コンセプト、事業計画書、物件選びまで決めた後は、エステサロンを開業するにあたり必要になる資金調達です。
ここで必要になってくるのが、本記事の前半でお伝えした事業計画書。
金融機関や公庫からの創業融資を受け取るために、資料を提出して資金調達活動を行いましょう。
資金不足の場合の対処法
融資以外にも助成金といった支援金もあります。
この助成金は、融資と違って返済する必要がなく、申請条件を満たしていれば書類の不備がない限りは受給可能。
融資以外にも助成金による補助もあれば、資金不足の解消へと繋がります。
エステサロン開業していくにあたり、助成金の内容に関してはこちらの記事に詳しく書いているので、是非ご一読ください。
エステサロン内装工事施行について
資金調達後、ようやくエステサロンの内装工事に取り掛かっていきます。
内装工事をしていくにあたり、どの業者に委託するのかといったことから決めないといけませんが、これまでの実績数や見積り費用を見ながら判断していきましょう。
エステサロン開業前の告知
エステサロン開業準備終盤!
内装工事が終了間近のタイミングで、オープン日程などを宣伝する広告活動が必要になります。
集客方法
- 情報サイトなどに掲載
- 紙媒体のチラシのみを業者委託→近辺をポスト投函
- 無料ブログやSNSの活用
情報サイトでの広告掲載サービスであれば、小規模な店舗でも掲載が可能に。
サロン立ち上げでも高い集客効果が見込めますが、月々の宣伝費も高いといったデメリットもあります。
また、紙媒体のチラシ等を制作業者に委託するのみで、あとは個人でターゲット地域となる住宅街にポストへ投函していくやり方は、ホットペッパーへの掲載費よりは安く済みます。しかし、コスパが良いように見えますが、ポスト投函に時間が掛かる点がデメリットですね。
そして無料ブログやInstagram、フェイスブックといったSNSでは、アカウントを集客目的で扱うのは、初めてという方が大半のはず。
簡単に使えるツールである分、簡単に集客ができるものではなかったりするので、開業してリピート顧客が増えてきたタイミングで本格的に使用する方が良いかもしれません。
どの集客法でも予算や市場状況を見ながら試してみましょう。
オープン後にすべきこと
冒頭でお伝えした通り、手軽にエステサロンが開業できるようになったことにより、競合となるエステサロンは非常に多いのが現状。
エステサロンを立ち上げた後は、一人ひとりのお客様がリピート来店してもらうためにも工夫が必要です。
リピート次回の来店となるきっかけを作る
- 次回来店時に使えるクーポンを渡す
- 初回来店時に次回予約日を設定してもらう
- スタンプ/ポイントカードに2~3回の来店でもらえる特典を明記
- ご友人紹介特典
オープンした時に来る顧客は、チラシなどの広告で来店する方がほぼ100%と言ってもいいでしょう。
来店後に、上記のような次回来店のきっかけを作っておくことで、再来店をしてもらえる確率が高くなります。
また、ご友人の紹介特典なども付け加えると、新規の顧客も増えていきます。
見送りの挨拶
特典や割引が顧客の気を惹くように、「見送り時の挨拶」も次回来店を促す重要なポイント。
「ありがとうございました」と言われるのと、「ありがとうございました。また来てくださいね。」と言われるのでは、顧客にとって心の残り方が変わります。
また、お見送りの姿勢も非常に重要なので、オーナーはもちろんのこと、スタッフを雇用する場合は、オープン前に指導をしておきましょう。
まとめ
以上がエステサロンを開業してからオープンまでの流れです。
初めての開業であれば、何もかもが初めての経験なので、戸惑う方が多いはず。
また、売上を出す前に、融資を借りて工事の委託や設備品の購入といった出ていくお金が多いので不安になる方が大半だと思います。
しかし、リピート顧客をたくさん増やすことさえできれば、経営が安定していくので、運営が楽しくなるはずです。
是非、本記事が夢のエステサロンオーナーの道を歩むバイブルになれば幸いです。
この記事の執筆者
業務用痩身機器比較サイト編集部
業務用痩身機器比較サイトは、元エステサロンオーナー、元美容機器メーカー営業をはじめとした美容のプロが業務用痩身機器を徹底比較して紹介するWebサイトです。エステサロンの運営に長年携わってきたノウハウを活かし、サロン経営に挑戦する方にとって役立つ集客の方法や売上を伸ばすコツ、痩身機器の選び方なども紹介してまいります。